脱サラして一念発起で独立した方、フリーランスで頑張っている方、独立後順調にそろそろ会計ソフトの導入を検討し始めた方の中には、
・会計ソフトって様々なメーカーから提供されているが、どれも同じに見える
・同じメーカーからも何種類もの会計ソフトが提供されていて、ますます違いがわからない。
・そもそも簿記はなくても大丈夫?
といった状態で、会計ソフトは何を基準に選べばいいか困惑されている方が多いと思います。
そこで、某会計ソフトメーカー5年勤務の経験がある私が、世に出回っている会計ソフト30ほどを実際に操作して徹底的に触り倒してきました。
この記事を関連記事も含めて全て読んで頂ければ、
会計ソフトを選ぶ基準がわかり、数ある会計ソフトの中から最適な会計ソフトを選べるようになります。
簿記の知識は必要?→はい、必要です。
本題に入る前に前提条件をお伝えします。
簿記の知識は必要です。
この記事を読まれている方の中には、
「簿記を一切勉強したことがない。だけどそろそろ帳簿を作成しないといけない。簿記の知識がない人でも扱える会計ソフトはないか?」
と考えている方もいらっしゃると思います。
確かに、最近の会計ソフトはかなり進化してきており、自動化できたり簿記の知識がなくても入力できるようになってきています。
しかし、
簿記の知識がないまま入力を進めてしまうと、間違えていることに気づけなかったり、間違えを修正する必要が出た時にどうすればいいかわからない、といった状態になってしまいます。
こんな状態のまま、仕訳を入力し続けても、出来上がる帳簿は使い物にならないといっても過言ではありません。
なので、簿記3級で十分ですので簿記の知識はつけましょう。
簿記3級の知識があれば、帳簿でのお金の動きがわかるようになります。
簿記3級ぐらいなら早い人なら1週間、遅くても1ヶ月で取れる簡単な資格です。
経営する上で最低限の知識です。
簿記とは無縁な方も多いと思いますが、会計ソフトを選ぶ前に簿記3級の知識は身につけましょう。
会計ソフトはどうやって選べばいい?
さて、本題に入ります。
最適な会計ソフトは、以下2つのプロセスから探します。
①モデルを選択し、モデル内で会計ソフトを比較します。
②モデル内で、価格に対する性能(インプット、アウトプット、会計以外の搭載機能有無等)を比較します。
モデルを選択し、モデル内で会計ソフトを比較します
会計ソフトは一般的に各メーカーから3種類(エントリーモデル、ミドルクラスモデル、ハイエンドモデル)に分けて提供されています。
ブロック図を入れたい。
会計ソフトを導入するにあたり、どのモデルが自社に最適かを検討することが会計ソフトを選ぶ一歩目になります。
当然ですが、モデルはハイエンドになればなるほど、性能が高くなります。
業種や各会社の状況によって会計ソフトに求める性能は変わってくるので一概には言えないですが、例えば
従業員が10名以下
年商1000万円未満
等に当てはまれば、エントリーモデルで十分かと思います。
支店や支社があり、それぞれの業績を確認する必要が出てきたらミドルクラスモデルあるいはハイエンドモデルを検討する必要があります。
モデル内で、価格に対する性能(インプット、アウトプット、会計以外の搭載機能有無等)を比較します
モデルを選択したら、次はそのモデル内で比較することで最適な会計ソフトを見つけます。
その際の比較ポイントは、見出しにもあるように、価格に対する性能になります。
性能の比較において、インプット、アウトプット、会計以外の搭載機能が大きな比較要素になります。
これから比較要素について簡単にご説明します。
①インプット
会計情報=仕訳を入力する機能です。
最近ではインターネットバンキングやクレジットカード、アマゾン等とデータ連携することで、入力を自動化させる機能が非常に流行っています。
データ連携の他には、手入力の快適さ、入力できる情報量がインプットの能力を構成します。
②アウトプット
入力された仕訳を集計し、表示する機能です。
一般的には損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー等、消費税額集計表等が仕訳を入力していれば自動的に集計されます。
一般的な会計資料以外に、前期比較、計画との比較、支払入金の予定表等、経営に活かしやすい形の会計資料を作成できる会計ソフトもあります。
これらの会計資料の豊富さ、有用性等をアウトプットとして比較します。
③会計以外の搭載機能
最近の会計ソフトは会計だけでなく、給与計算、販売管理をはじめとする事務業務全ての機能が搭載される傾向があります。
クラウド会計に代表されるように会計ソフト、給与ソフト、といった垣根が薄れてきて、オールインワンソフトになってきています。
会計以外の機能の豊富さ、品質も会計ソフトを選ぶ上で重要な比較項目になります。
会計以外の各機能の比較はこちらから行います。
以上で、モデルの選定基準、モデル内で比較する際の、項目の説明を行いました。
いよいよ具体的に各社会計ソフトの比較に入ります。
筆者自らが会計ソフトを使ってみた体験を元に、各モデルごとの会計ソフトを徹底比較してみました。
会計ソフト30社徹底比較:エントリーモデル編
エントリーモデルの分布を図にしてみました。
図を挿入
エントリーモデルをカンタンに説明しますね。
エントリーモデルと言っても、かなり色んなことができます。
インプット面:
仕訳の入力を自動化する機能は最近の会計ソフトではもはや当たり前となってきており、エントリーモデルでも十分に行うことができます。
アウトプット面:
支店ができて、支店ごとに数字を見たいとなるとミドルクラスへのアップグレードが必要です。全社全体の合計数字で良ければ、エントリーモデルで大丈夫です。
それでは、各社エントリーモデルを見ていきましょう。
MoneyForward クラウド会計 オススメ度
MoneyForwardクラウド会計(以下MF会計)のメリットは2つです。
1.データ連携に力を入れています。
他社でもインターネットバンキングとクレジットは行えますが、MF会計はそれに加えて、アマゾン、BASEといったショッピングサイトとの連携も行えます。一方、仕訳を手入力する機能については他社と比べて見劣りする部分があります。
2.会計以外にも給与、請求あたりは他社も搭載されていることがありますが、勤怠や経費精算まで搭載されています。
「バックオフィスを効率化」とキャッチコピーで見かけますが、まさに会計だけを視野に入れているのではなく、事務業務全般がMF会計の対象になっていることが大きな特徴です。
総合点 | 基本的な機能が揃っている。とりあえず使ってみる分には十分。間違いがない。 | |
価格 法人 | 2980円/月 一般的な金額。 | |
価格 個人 | 980円/月 圧倒的に安い。コスパ最強。 | |
インプット | データ連携に力を入れているが、土台となる手入力部分は並 | |
アウトプット | キャッシュフローがグラフで表示されるのは良いが、他は他社でもできる機能ばかり。 | |
会計以外の機能 | 機能の豊富さはダントツでNo.1。ただし、性能は全て並だが、事業を始めたての企業にこの豊富さは大変ありがたい。 | |
市場シェア | ||
デザイン |
今風なデザイン。見た目を気にするならMFはかっこいい。 |
筆者が実際に触ってみた詳細なレビューはこちらです。
クラウド会計ソフトfreee オススメ度
クラウド会計ソフトfreeeは非常に画期的な発想の元に作られたソフトである、とは思いますが、個人的にはあまりオススメできないソフトです。
入力形式があまりにも特殊すぎるためです。
freeeは簿記の知識がない人でも仕訳を入力できるよう、簿記の専門用語を取り除き、入力の画面も簿記の知識がなくても扱えるレイアウトになっています。この仕組みを作り上げたことは素直にすごいと思います。
しかし、私個人の意見としては、帳簿を作成するのに簿記の知識は必要です。
簿記の知識がないと間違っていることにも気づけません。結果、正しい帳簿が作成できることはないと思います。
簿記の知識はつけて会計ソフトを扱う必要があると考える私にとって、簿記の知識が不要の会計ソフトはオススメしません。
なんちゃってでもいいというのであれば、いっそのこと会計事務所に記帳を依頼するか、別ソフトを探した方が良いと思います。
総合点 | 根本的なソフトの開発思想が簿記を不要としていることから、筆者としては推奨できない。 | |
価格 法人 | 1980円/月 安めな金額。 | |
価格 個人 | 1980円/月 標準的な金額 | |
インプット | 特殊な入力方式で、私見により推奨できない。 | |
アウトプット | キャッシュフローがグラフで表示され、取引明細レベルまで追跡できる。損益計算書の比較機能も充実している。 | |
会計以外の機能 |
請求システムのみ。決算申告ソフトもあるのは良い。 |
|
市場シェア | ||
デザイン |
今風なデザイン。freeeもかっこいい。 |
筆者が実際に触ってみた詳細なレビューはこちらです。