MJSが提供する会計ソフトの導入を検討しているけど、iCompass NXは導入すべき?実際に便利かな?
こういった疑問にお答えします。
本記事の内容
・iCompass NXは「電子帳簿保存法」という法律に対応していないため、おすすめしない。
・MJSは様々な会計ソフトを提供しているが、iCompass NXはどういう位置づけか?
・iCompass は実際に便利か?どのような機能が搭載されているか?
この記事を書いている私は、某会計ソフトメーカーに丸5年勤務しておりました。今では、一見同じように見える会計ソフトを体験版を触ってみて各社の違いを知ることが楽しみです。
何かしらの理由で会計ソフトを新しく導入しようとしていて、MJS社のiCompass NXが気になった方、これから各社の会計ソフトを比較されようとしている方には、ぜひこの記事をご覧ください。
※この記事は5分ほどで読み終わります。
iCompass NXは法律に対応していないため、おすすめしません
理由は2つあります。
・その①:「電子帳簿保存法」という法律に一切対応していない。
・その②:今後も一切電子帳簿保存法に対応する予定が公表されていない。
会計ソフトを導入する際の検討事項として、入力簡単、自動でできる、経営に役立つ資料が出せるといった機能を比較することと同じぐらい重要なこととして、法律に乗っ取っている会計ソフトかどうか?も検討するべきです。
この法律準拠という部分でiCompass NXは致命的に対応できていないため、おすすめしません。
「電子帳簿保存法」という法律に一切対応していない。
電子帳簿保存法という法律があります。
ざっくり説明すると、紙で保存するのではなく、電子で会計に関する資料を保存する取り決めを定めている法律です。
JIIMAに認証を受けていない
公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会(通称:JIIMA)という団体が、電子帳簿保存、スキャナ保存、電子取引保存のそれぞれの 観点から、この法律の要件を満たしているかどうかを確認しています。
このJIIIMAからiCompass NXはどの観点からも認証を受けておりません。
ご参考までに、以下のサイトがJIIMAが認証している会計ソフト一覧になるので、ご確認ください。
添付したのは、電子取引の保存の要件を満たしている会計ソフト一覧になります。
今後も一切電子帳簿保存法に対応する予定が公表されていない。
2つの観点から判断しています。
提供元であるMJSから開発予定が発表されていない
提供元であるMJSのHPには電子帳簿にも完全対応!と記載されている記事があります。
MJS提供のいくつもの会計ソフトが電子帳簿保存法に対応してるんです!
してるんですが、しかしですね・・・iCompass NXは一切記載されていません。
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今後開発予定との記載もないため、別のソフトはともかくiCompass NXは電子帳簿保存法には現状対応予定はありません。
法律に対応していない会計ソフトは私からはすすめられないですね・・・。
他社はJIIMAの認証を受けていなくても、開発はしている。
JIIMAからの認証を受けていなければすべてダメか?というと、そうであれば会計ソフトメーカーには少し厳しい意見になります。
他社の会計ソフトは、認証を取得できていなくても、ほぼ法律に乗っ取った機能を搭載している会計ソフトが多いです。
こういった会計ソフトは将来的にはJIIMAの認証も取得できそうですね。
ただし、iCompass NXは上述したように、機能の搭載もなく開発予定も公開されていません。他社も同様の状況であれば別ですが、
他社が開発している中、iCompass NXは開発される気配がないため、なおさら私からはすすめられないです・・・。
と、ここで話を終わってしまってもいいのですが、どんな会計ソフトなのか法律面以外の機能面について気になると思います。
これからiCompass NXとはどんな会計ソフトなのかご紹介していきます。
iCompass NXってどんな会計ソフト?
具体的な機能の話に入る前に、MJSが提供している会計ソフトの中でどういう位置づけなのか?といったあたりの話をしていきます。
MJSからは約7種類の会計ソフトが提供されており、iCompass NXは小・中規模向け
MJSのHPを一度でも見たことがある方は会計ソフトの種類の多さにびっくりしたのではないでしょうか?
MJSのHPから抜粋しますね。
こちらを見ていただくとお分かりの通り、iCompass NXはMJSの中ではちょうど真ん中レベルの位置づけになります。
他、HPには小・中規模向け、売上高5億以上を目安に提供していることがわかります。
その中でもiCompass NXはクラウドではなく、スタンドアロン=ネットにアクセスせずに利用するタイプのソフトです。
正直なところあまりiCompass NXの開発には力を入れていなさそう・・・
これはあくまで私の偏見です。理由は2点です。
・MJSのHPには、iCompass NXが紹介されていない場合がある。
・搭載されている機能が全体的に古い。
昨今話題のクラウドへ移行していくにあたり、昔はメインだったソフトが徐々に廃れていく、というのは他社でもたびたびありますね。
iCompass NXもそんな類のような気がしています。
料金は明示されていない
iCompass NXの料金は明示されておらず、MJSに直接お問い合わせとのことです。
使い勝手もいまいちです。※実際の画面付き!
仕訳の入力は伝票や帳簿形式で手打ちしていくスタイル。少し癖もあります。
他社がインターネットバンキングとの連携による、仕訳入力の自動化を押し出している中、iCompass NXは伝票入力をメインにしています。
インターネットバンキングとの連携もできるのですが、すごくわかりづらいところから実施します。
それでは、実際に画面を見ていきましょう。
こちらがiCompass NXのメインメニューになります。
仕訳入力の中身を見ていただくとわかりますが、自動化らしき文言は見当たらず、出納帳や帳簿、伝票といったこれまで紙に手書きで仕訳を書いていた人にとってなじみ深いかもしれません。
続いて実際の仕訳入力の画面です。
仕訳入力は慣れていればサクサク入力できますが、慣れていない人には少し不便だと感じました。
理由は以下の通りです。
・勘定科目は3ケタのコードを入力します。覚えていれば素早く仕訳が作成できます。
・3ケタのコードを覚えていない場合は、入力場所①から離れた場所②に一覧が表示されるので目が行ったり来たりします。
使ってみるとわかりますが、一覧をスクロールするのとか、一覧から求めている科目を探すの結構大変だったんですよね。
iCompass NXを利用して半年ほど経っている人は、普段使うコードは覚えてサクサク入力しているんでしょうか?
インターネットバンキングとの連携機能はこんなところに隠されていた!?
もはや隠されています・・・笑
この画像はマニュアルより、引用したものです。
預金出納帳から開いたときのみ、画像のように、取込処理→取引明細連携とクリックすると、いわゆるインターネットバンキングの連携を行い、仕訳の自動化ができます。
この記事を書き始める直前まで、連携機能はないと思っていました・・・が、マニュアルを見ていたら連携機能は存在することに気づきました。
この機能、大変わかりづらい場所にあります。マニュアル見なかったら絶対気づかないですよね。笑
会計資料は他社と比較して充実している方です
会計ソフトから作成される資料でオーソドックスなジャンルは次の3点です。
・損益計算書と貸借対照表を合わせた財務資料
・資金繰りに関する資料
・消費税に関する資料
iCompass NXはこれらの資料で最低水準以上のものは搭載されています。私が特にいいと思った資料について紹介します。
予算管理が損益計算書だけでなく、資金繰りに対しても行える
予算管理とは、目標売上高、目標利益、目標費用金額といった目標の年間金額を決めて、目標に対する実績を比較できる機能です。
資金繰りまで予算管理ができる会計ソフトは今のところ私が知る限りiCompass NXだけです。
実際の画面を見てみましょう。
いかがでしたでしょうか。
予算を立てて経営してみるとお金の使い方が変わってくると思います。
※余談です。
私は経営者ではないですが、個人資産の管理は予算を立てて行ってます。
私は家族と遊びに行くことが多かった月は、その分書籍代や、友人と飲みに行くお金をいくら削ろうといった、
何でいくら削るか具体的に考えることができています。
予算を立てると経営が変わってくると思いますので、ぜひ一度予算作成してみてください。
消費税の確認資料はこんな感じです
科目ごと税率ごと課税区分ごとに確認できます。
給与手当等は不課税仕入れですが、それが課税仕入で誤って計上していないかといったことを確認できます。
というわけで、今回は以上です。
まとめ
iCompass NXの導入はお勧めしないことをお伝えしてきました。
機能紹介も含めると今回の記事は以下4点です。
・iCompass NXは電子帳簿保存法という法律には対応していないこと
・察するにMJS社はiCompass NXの開発には今は力を入れていないこと
・入力機能が一昔前の伝票による手打ちが主体であること
・会計資料は水準以上は搭載されていること
iCompass NXをおすすめしないことはよくわかったが、それではどこの会計ソフトを導入するのがいいんだろう?と、
思われた方は、会計ソフト30個を徹底比較したまとめサイトを作成しています。こちらもぜひどうぞ。